ある塾で中学生を教えていて気付いたことがあります。
姿勢がゆがんでおり、背骨が前後方向ではなく、【左右】にS字に曲がっている子がいました。
そして、時間とともに、どんどん頭が下に落ちていき、さいごは上半身が完全に机の上に乗っている状態でした。
この姿勢では長時間の勉強はつらいだろうな、と見ていて思いました。
話してみると、【苦手で好きではない英語】を勉強している最中でした。
そういう自分も、高校生の頃に気付いたのですが、背骨を横にS字を曲げる癖がついてしまい
今も整体で定期的に整えてもらっています。
自分の体感では、背骨が不自然に歪み始めるのは、疲れてきた時と、圧迫感を感じている時です。
疲れて自分の身体をまっすぐに保てなくなってきた時、歪んでいる自分に気付きます。
逆に言えば、そこまで疲れる前に休んだりリフレッシュできれば、
そこまでひどく背骨が歪むこともないはずです。
また、伸び伸びと自分らしくあれる環境では、姿勢が歪むことはありません。
環境もとっても大切な要素です。
竹内敏晴という、教育者であり演劇の指導者がいます。
身体が語る言葉に対する洞察などが非常に優れていて、自分は本からとても教えられています。
その竹内師が、こんなことを著書に書いていました。
「最近、中学生に側湾症がふえている、という報道がありました。背骨が右か左にぐにゃっと湾曲していて、原因不明だそうです。
(中略)
これは果たして病気なのだろうか?姿勢という観点から見れば、これは、からだが上に伸びようとする力がなくなって、重力のままに、ぐにゃっと、上半身が落ち込んできた姿勢だと言えるだろうと思います。
(中略)
・・・これは学校教育、あるいは家庭生活の中での子どもの生きざまの問題、広く言えば社会生活の中での「生き甲斐」の問題になります。・・・(中略)・・・「伸びる」力、志向を奪ってしまったものはいったいだれか?あるいは何か?」
(竹内敏晴著「からだが語ることば」p40より)
竹内師はこの後続けて、障害のある人でもない人でも、また一般の大人にも、
「このような意味での姿勢の歪みを持ってるので、そこからときほぐしにとりかかることもできる」と言います。
一つ一つの身体の歪みには、必ず理由があり、逆からのアプローチとして歪みを解きほぐしていくことで、
その理由に気づいて取り組んでいける、という事だと思います。
それにはまず、大人たち自身が自分の姿勢の歪みに「気づき、いかにからだを伸び伸びとときほぐし、
息を深くしていくか。それが、文化と教育の、一番基底的な課題ではないか」
と締めくくっています。
自分の姿勢を意識する
(あるいは、整体師さんなど、姿勢の善し悪しが分かる人に見てもらう)
それは、すなわち【自分に気を配る事】であり
それが、自分の身体が発してくれている「ことば」に気づく、大切なきっかけをくれると思います。
そしてそれは、自分が伸び伸びと伸びて行きたい方向、
つまり自分の生き甲斐や目的を見つける事につながっていくのかもしれません。